ムチ打ち(むち打ち症)

Whiplash

 事故や転倒によって起こる


 交通事故の後遺症で多いのが首のムチ打ちですね。転倒した後なんかにも起こります。


 首が痛くて回せなくなったり、頭痛、吐き気がしたりという症状が多く見られます。


 受傷直後は首や肩の筋肉が腫れていることが多いようで、この筋肉の異常から痛みや頭痛が出ているように思われます。

 そしてそれに伴って、頚椎のバランスが悪くなっています。筋肉に頚椎が引っ張られるためです。

 ですので、直後にレントゲンを撮ると、すごい歪みに写ったりしてしまいますが、筋肉の異常が治ってしまえば、歪みはそうでもなくなったりするようです。


 経験上、追突された側及び反対側の首の筋肉に強い緊張や腫れが出ることが多いように見受けられます。

 例えば、自分が正面を向いている時に、後から追突されると首の前側と後ろ側に緊張や腫れが、右からぶつけられると首の右・左側に緊張や腫れが出るといた具合です。

「首の前側」

胸鎖乳突筋・・・・横を向くと浮き出る筋。ムチ打ちでよく傷めます。

 ここが緊張すると耳のあたりや前頭部に痛みが出やすいです。

 のどに違和感を感じることもあるみたいです。

赤い線の間の部分です。

「首の横側」

 胸鎖乳突筋・・・一枚目写真を参照。

 斜角筋・・・ここが過剰に緊張すると、腕が痺れたり痛くなったりしやすいです。

 斜角筋は前中後の三本です(下の症例記事を参照してください)。

「首の後側」

 頭板状筋と頸板状筋・・・頭板状筋はうなじの横側、頸板状筋は首の下の肩の辺りに、押すと痛い点(トリガーポイント)があります。

 頭板状筋は頭の上の方でちょっと横側あたりに、

 頸板状筋はこめかみ辺りに痛みが出やすいです。

 大まかですが、頸板状は赤のライン、頸板状筋は青のラインです。

「肩の筋肉」

 僧帽筋・・・・皆さんよく知っている大きな筋肉です。肩が凝ったら揉む所です。

 側頭部に痛みが出やすいです。 

 赤のラインに囲まれたあたりが僧帽筋で大きな筋肉です。

 ムチ打ちではこれらの筋肉を傷めやすいのですが、受傷直後はかなり腫れてたりするので、まず冷やしたりして炎症を抑える必要があります。


 ある程度腫れが引いて、炎症が治まったものの、首の痛みがとれない場合は、頚椎に歪みが残ってしまっているのかもしれません。

 こういう場合はカイロプラクティックがオススメです。

 (症例)

 ランニング中に転倒し、それからしばらくたっても首を動かすたびに痛みが出るという方がいらっしゃいました。


 腕や手にもジーンとした感じ、重いものを持つときに力が入りにくい感じがあり、首を傷めての神経症状ではないかと気になさってのご来院でした。


 首を見てみますと、全体に張りがありますが、特に斜角筋の張りが強く、いわゆるむちうちのような症状です。

斜角筋群

 斜角筋というのは首の横の筋肉で、前中後の3つあります。写真で言うと赤が前、青が中、黄色が後です。

 自動車事故なんかですと、横からの追突の際には特に傷めやすいですが、この個所は過剰に緊張すると、腕に違和感を出すことがあるのです。

 この方の場合は、首肩腕をよくほぐして調整しました。特にこの斜角筋は念入りほぐしましたところ、首の痛みはかなりなくなりました。


 神経症状であれば触られてもわかりにくいとか、力が入りにくいとかがありますが、ジーンとした感覚というのは知覚麻痺とはちょっと違うし、運動麻痺なら軽い重いにかかわらず出るので、神経症状とは言えないなと思っていました。


 転倒時に無意識にグッと体を緊張させたのか、手をついたのか、ぶつけたのかしたのかもしれませんが、いずれにせよ筋肉の過剰な緊張によって症状が出ていたようです。


 ちなみに斜角筋をストレッチするには、

首肩のストレッチ

 座って、座面に手を引っ掛けて反対の手で頭を持って横に倒すと良いです。

 少し上を向くと前、真横だと中、やや下向くと後斜角筋がそれぞれ伸ばせますので、気持ちの良い角度を探して行うと良いです。


(2018年4月ブログ記事に加筆修正)