股関節の痛み(前、内側、外側、後)、はまっていない感覚

Hip pain

 産後にも多いですが、スポーツで出ることも。


 股関節の痛みを訴えてこられる場合は割と多いです。


 歩いていると痛くなるとか、こういう動作がつらいとか、一口に股関節が痛いと言いましても様々なものがあります。さらによくよく伺ってみると、痛いというよりもはまっていない感覚があると言われることもあります。実際に骨盤に大腿骨がはまっていないわけではありません。痛みも含めこれらは股関節周囲の筋肉の緊張によって出てくる症状です。


 股関節のどの部分が痛いのか、どういう動作・体勢によって痛いのか、それらをチェックしていくと原因部分が分かり、対処できます。

 産後から痛いというのもありますね。


 大抵、ちょっと押すと痛い所があると思いますから、自分でも探してみてください。


 痛みの主な箇所で分けてみると、

股関節の前側(大腿筋膜張筋と大腿直筋)

 太ももの上の方で、骨盤の出っ張りの骨のすぐ下あたり。

 ここは大腿直筋の起始になります。おそらくこの部分の緊張によるものが一番多いように思います。

 他にちょっと外側なら大腿筋膜張筋、ちょっと内側なら縫工筋、さらに内側なら恥骨筋となるでしょう。


 僕がこういう症状の際によく見るのは、大腿筋膜張筋と大腿四頭筋の大腿直筋の過剰な緊張によって引き起こされているものです。


 黄色い★は大腿筋膜張筋、ピンクの★は大腿直筋の圧痛点。痛くない側と比べて張りや圧痛があるのはよく押してみたりすれば分かります。黄色い★の大腿筋膜張筋のストレッチは下の説明(外側)のように、脚の付け根を外側に押し出すようにするとストレッチできます。

大腿直筋のストレッチ

 ピンクの★の大腿直筋はこのように太ももの前を伸ばすとストレッチできます。

座って行う場合は、片膝をたたんで床に座り、上体を後ろに倒すことでストレッチできます。


 またインナーマッスルである腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)の緊張が原因でこのあたりが痛くなることもあります。


 この辺りに痛みがある場合には、床に座り、痛い側の足だけを正座のように曲げて、上体を後へ倒すようなストレッチが有効です。

「股関節の内側、内股のところ」


 ここに痛みがある場合は内転筋(長内転筋、短内転筋、大内転筋とあり、少しずつ場所は違います)の緊張が原因です。股の奥、お尻に近いほうなら大内転筋です。

 内転筋よりやや前側なら恥骨筋の緊張です。

内転筋、恥骨筋、大腿筋膜張筋

内転筋の圧痛点は水色の丸のあたり。恥骨筋が緑のあたり。


 ストレッチとしては、内転筋の場合はあぐらのように股関節を開く、もしくはずばり開脚で、恥骨筋なら脚を開きながらもその脚が少し後に来るようにすれば効果的で、膝は曲がってても良いです。

「股関節の外側」


 時々ですが脚の付け根外側が痛むと訴える方がいらっしゃいます。ここだけ痛むという場合もあれば、腰痛に伴って痛みが出てくるという場合もあります。

大腿筋膜張筋

 場所はちょうど脚の付け根外側の骨のすぐ上で、腰骨のすぐ下あたり(ピンクの★)です。


 ここは大腿筋膜張筋という筋肉です。スポーツでだと長距離走なんかで傷めることがありますが、意外とそんなスポーツをしていない方でも痛みを訴えて来られることがあります。


 体重が外側にかかっていると痛くなる可能性がありますので、腰痛に伴っての場合は、腰が痛むのをかばう形でこういうところに力が入ってしまうのかもしれません。


 自分でストレッチする場合は、

大腿筋膜張筋のストレッチ

 このようにちょっと変な格好ですが、赤い矢印の側を伸ばしています。痛い側の足を後ろから反対方向へ置いて、痛む側を外へ押し出すようにします。足を遠くに置くほど伸びやすいと思いますが、ほどほどに。


 僕は手を上げていますが、そのほうが伸びる感覚を得やすいからで、必ずしも上げなくても良いです。


 腰痛がある場合、この動作がつらいこともありますから、その時は無理にやらないでおいてください。


 寝て行うストレッチとしては、痛い側を上にして横向きに寝て、痛い側の脚を後に降ろす、のでも良いです。

脚の外側の痛みは腸脛靭帯などのつながり

 ちなみに骨盤の出っ張りの骨と股関節の出っ張りの骨の間なら上の大腿筋膜張筋の緊張、股関節の出っ張りより下なら腸脛靭帯の緊張が原因ですが、これらは繋がっています。


 このように股関節のあたりから脚の外側にかけて痛みがつながるような時もあります。股関節のすぐ上の中殿筋、大腿筋膜張筋から、太ももの外側の腸脛靭帯や外側広筋です。

股関節の後ろ側、お尻側

お尻側で、股関節の出っ張りの骨に近いところの痛みなら大腿方形筋の緊張でしょう。

お尻のストレッチ

ここのストレッチはちょっと難しいですが、

 強いて言うなら、膝をやや内側に曲げて、グッと両手で抱え込むと良いでしょう(上の写真よりもっと膝を胸に近づけて抱えこむと良いです)。

 いずれの場所でも、ストレッチした時に痛みが強いなら無理に行わず、痛いけど気持ち良い程度にしてください。


 あとは押して痛い所を見つけて、そこを痛気持ちよい程度にしばらく(目安90秒ほど)押し、痛みが薄らいだら放すのを時々行うのが良いです。


 股関節はちょうど骨盤にありますから、骨盤の動きにも影響を受けるので、骨盤の調整はしておいた方が良いです。



(2017年11月ブログ記事、2019年8月ブログ記事に加筆修正)