お尻、脚の付け根・太ももの後ろ側にかけての痛みとしびれ

Pain in the back of the buttocks and thigh

 お尻の筋肉の緊張が関連します。


 腰痛に伴って多い症状に「脚が痺れる」があります。


 中でも、「お尻の辺りから太ももの裏にかけて」とか「お尻から太ももの外側を通って足先まで」とかいった症状が多いですね。


 こういう場合考えられるのは殿筋群(大殿筋・中殿筋・小殿筋・梨状筋)の過度の緊張。さらにそこへ太ももの裏あたりの筋肉の過度な緊張が合わせて起こっていることもしばしばです。

お尻から脚の外側

 たとえば多いのはこんなパターン。痛みの箇所は赤い線のあたりのお尻から太もも裏の外側にかけて。歩いたりすると痛くなってくるなんていうもの。

 こういう症状の場合、坐骨神経痛だと思われがちですが、実は神経症状ではないことのほうが圧倒的に多いです。

中殿筋・大腿二頭筋

 これは中殿筋(水色)や大腿二頭筋(緑のライン)に強い緊張があるのです。

 張って緊張しているとその箇所の血流が悪くなっており、力が入った、力がかかった時により収縮して血流が悪くなるため、発痛物質が出て痛みになります。

 緊張のある筋肉は痛くない側と比べて硬く、触られても硬さや痛さがあるのでたいていすぐにわかります。

本当の神経症状ですと触られても感じないとか力が入らず筋肉が弛緩していますから別物です。その場合はすぐに病院に行かないとダメです。


 ですので上のような症状のある時は、まずお尻のどこかに押して痛いところが無いか調べてみます。


 お尻の筋肉にはいくつかあって、それぞれが過剰に緊張したときに症状を出す場所を大雑把に言うと、


 大殿筋・・・・お尻の真ん中・下部あたり

 中殿筋・・・・仙骨(骨盤の真ん中の骨)あたり。骨盤の腸骨と大腿骨の一番上の出っ張りとを結ぶ筋肉。

 小殿筋・・・・お尻・太もものうら・太ももの外側あたり

 梨状筋・・・・お尻の真ん中と外側あたり。骨盤の真ん中の仙骨と大腿骨の一番上の出っ張りを結ぶ筋肉。


 梨状筋というのはおしりのくぼみの所で、ここが緊張すると、お尻のみならず太ももの裏側にも痛みやしびれ感が拡がることも多いので、よく坐骨神経痛だと間違われてしまうのです。


 だいたい上のあたりに押すと痛い点(トリガーポイント)があります。押すと痛みが再現したり、響くような感じがするところです。


 たいてい症状は片方に出ていますので、押した感じを反対側と比べて、硬さがあればすぐにわかりますし、患者さんも押された感じが違うのでわかります。このような筋肉の緊張であれば、その個所をゆるめればしびれや痛みは治まります。



 例)抱き枕でそのまま寝たらお尻の痛み


 本来抱き枕もリラックスして寝るために使用するので、原因として珍しいとは思うのですが、大きさが大きかったり硬いものだと股関節を開いた状態で寝る可能性があります。

その体勢だと梨状筋は縮んで緊張するかもしれません。また、寝返ったりする時に変に力が入る可能性もあるでしょう。


 一応抱き枕を使わないようにお話しし、その後のご来院の時に様子を伺ったところ再発はしていないようでした。


 寝て起きた後に痛みや違和感を感じる場合は、寝具をチェックしてみてください。




 さて施術ではこれら緊張箇所をよくゆるめ、痛い側に体重がかからないように骨盤のバランスを調整します。


 セルフケア方法としては、まず押すと痛い所、響くところを見つけ、そこを痛気持ちよい程度にじっと押してみましょう。しばらく押しているとだんだん痛みが軽くなってくるでしょう(目安は90秒)。よく揉んでもいいです。何箇所もあるなら、一つずつ地道にやっていきましょう。


 さらにストレッチするのも有効で

こうとか、

このように。

これはお尻全体が伸びます。

 梨状筋を伸ばすには、脚を外に出して、あひる座り、ぺたんこ座りのようにしても良いです。写真は寝てますけど、座るだけで良いです。

 ただし男性は内股にするのが苦手なことが多いので、きつければ無理はしないようにして下さい。

大腿二頭筋のストレッチはちょっとした台に足を載せて、つま先を上げ、そのまま体を前に倒すと良いです。



(2017年7月ブログ記事に、2018年3月ブログ記事、2018年11月ブログ記事に加筆修正)