顎の関節音と頭痛・肩こり

Jaw joint sounds and headache / stiff shoulders

 関節音も頭痛・肩こりも筋肉の強い緊張によって起こります


 顎の関節音が気になってお越しになる方は多いです。


 その際、

「顎の関節音がひどくなったりそうでもなかったり、その時々で変わって、

関節音が大きくなってくると頭痛や肩こりになる」

 と仰る方が結構いらっしゃいます。


 こう聞くと顎の関節音が頭痛や肩こりの原因になっているように思えますが、実は顎の筋肉の緊張と首・肩の筋肉の緊張が同時に起こっていることによるものなのです。顎もコルんですよ。


 首・肩のコリは無意識に力が持続的に入ってしまうことによって起こりますが、顎の筋肉も同様です。

 無意識の食いしばりが続くことによって疲労し、過剰に緊張したままになると、動かしたりして力がかかる時に痛みを発するようになります。

 首・肩コリもひどくなると痛くなりますが、あれと同じです。


 さらに、顎の筋肉の緊張が続くと下あごの骨の位置が少しずれます。特に緊張している側に顎が引っ張られます。


 そうしますと、下あごの骨の関節面と顎関節内の関節円板でうまくかみあわなくなってくるので、関節音が出てくるのです。



 ですのでこのように発生する顎の関節音の場合は、顎の筋肉を弛めることで改善することが多いです。


・食いしばらないようにする。顎をリラックスさせる。

・えらの部分やこめかみのあたりをよくほぐす。

顎の筋肉

頬骨の下の水色のハートが外側翼突筋。ピンクの星が咬筋。えらの骨のすぐ下の黄色の星が顎二腹筋や首の胸鎖乳突筋あたりになります。

側頭筋

耳の上の筋肉です。

 まずはこれらをほぐしてゆるめることを行ってみると良いでしょう。



 さらに寝ている間にくいしばっていたり、歯ぎしりなんかをしている場合、目覚めた時に顎が疲れていたり、痛みがあったりということがあります。


 そういう場合に、よくよく伺ってみると、枕をちゃんと使っていないということが意外と多いんです。


 枕を使っていない、または、首の下に枕が入っておらず、頭だけを載せているような場合、首のカーブがなくなり、顎が引けたようになります。


 すると上下の奥歯が自然と当たりがちになるので、顎に力が入りやすくなってしまうのです。そうすると寝ている間に食いしばってしまいます。その食いしばりが顎の筋肉の疲労、さらに進むと痛みになってきてしまいます。


 口は閉じていても上下の奥歯は当たっていないのが良く、それは起きている場合でも眠っている時でも同じ。


 枕を使わなかったり首の下に入っていない場合は、首そのものが疲れたり痛みが出たりしやすくなるのですが、顎にも影響してくるのです。


 枕は首を支えるものですので、正しく使いましょう。

 症例)

 先日、「うちの娘なんですが、口が痛くて開けられないんです。見てもらえませんか?」とお電話をいただき、いらっしゃったのはまだ若い女性。


 一年くらい前から顎がパキパキ鳴り、口を開けようとすると痛くなってきて、この3,4か月が特にひどく、指一本分ほどしか開かないといった症状。


 実は東京の小顔矯正のサロンに行っていたものの、体のゆがみが原因で治すには通わないといけない、ローンを何十万か組んでくださいというようなことを言われたらしく、お母様が心配なさって、たまたま近所だった当院にお電話をくださったのでした。


 観てみますと、下あごがほんのわずかですが後ろ側に引っ込んだ感じです。

お嬢様はその状態を見て頬骨が出ているように思ったらしく、その頬骨をひっこめたいと思って小顔矯正のサロンに行ったようです。


 ちょっと僕の顔で申し訳ないですが、


顎の筋肉の緊張で下あごがひっこみ気味になる

 下あごが引っ込んだ状態は横から見るとこんな感じです。

 この状態を正面から見ると、口をイーッとしてもらった時に上の前歯と下の前歯の間に前後の隙間が少し大きくなります。これでだいたい下あごが引っ込んでるなっていうのが分かるのですが、下あごが引っ込んでいるというのは顎周囲の筋肉、とくに噛む時の筋肉に強い緊張があることを示しています。

 このお嬢様の場合も噛む時に使う筋肉群に強い緊張があったので、そこをゆるめるようによくほぐして、さらに下あごを前に戻すように持続圧をかけました。


 それで顎のパキパキいう音がなくなって、口が指二本半くらい開くようになり、痛みもなくなりました。


 お伺いしたかぎりではかなり食いしばる癖があるようでしたので、それがこの状態の原因になっていたようです。


 基本的には筋肉の緊張がなくなれば再発しなくなってきますが、この状態を維持するために、簡単なリセット法をお教えいたしました。それは、

下あごを前に出す

 意識的に下あごを前に出して受け口の状態を作り、そこで下あごを小刻みに動かす(5~10秒くらい)、これを時々行うというものです。


 下あごを前に出すと食いしばれなくなり、かつ引っ込んだ位置も戻るという一石二鳥の方法。


 お仕事などで無意識に食いしばり気味になっていることがありますから、思い出したらこれを行って顎の状態をリセットさせると良いです。



(2016年5月ブログ記事 9月ブログ記事、2019年1月ブログ記事に加筆修正)