肩甲骨の内側の痛みや冷感

Pain inside the scapula

デスクワークPC作業、授乳中、抱っこ紐使用で多い

 肩甲骨の内側が痛むとか、凝る、張るというのは珍しい症例ではありません。冷たい感じがすると仰る方もいます。


 僕なんかも、長くPC作業をした後に、右の肩甲骨の内側が痛くなります。作業中に、無意識のうちに右肩に力が入って上がってくるのです。


 肩甲骨の内側の筋肉は

菱形筋と肩甲挙筋

・菱形筋(肩甲骨内側と背骨の胸椎2~5番を結ぶ。青いライン)

・肩甲挙筋(肩甲骨内側の上のほうと頚椎の1~4番を結ぶ。赤で囲まれたところ)


僧帽筋

・僧帽筋(中部と下部が肩甲骨と胸椎に広く繋がる)

 肩甲骨の内側だけが痛むなら菱形筋の緊張、

 首や肩にも痛みがあるなら、肩甲挙筋や僧帽筋の緊張もあると思います。



 さらにこういう場所の痛みは授乳中のお子様をお持ちのママさんにも多い症例です。


 ・座っての授乳をするときに背中が丸くなるので凝る

 ・添い寝をする、添い乳をする時に同じ側を下にしている時間が長いと、下になっている側の背中が凝る


 このような理由で授乳中には肩甲骨周囲が凝ります。


 また、抱っこ紐がきつい場合なんかにも背中の張りが出ます。これは僕も昔経験いたしました。(抱っこ紐での症例は下を参照ください)


 肩甲骨周囲の背中の張りは母乳の出が悪い側に強く出て、そのあたりがほぐれると母乳の出も良くなることが多いです。

 というわけで、当院にも助産師さんからのご紹介でそういった方がお見えになることもあります。



 自分で出来ることとしては


 ・こまめに肩甲骨を動かすようにする

 ・添い寝の際に同じ側ばかりを下にしない

 ・肩甲骨の内側を温める


 あたりでしょう。まずは良く温めて、よく動かす事が大事ですね。



 手が届くなら、肩甲骨の内側の圧すと痛い、効くな~と思う場所に痛いけど気持ち良い程度に手を当てて、大きく肩を回してください。ちょっとしたセルフマッサージです。


 また、こういう場合痛い方の肩が前に出気味になっていることが多いです。その時胸の大胸筋は縮んで、肩甲骨は背骨と離れています。


 痛みは無くともこの状態だけで腕の回りは悪くなります。


 ですので、胸を大きく開くようにストレッチして、かつ肩甲骨同士を背骨に寄せるようにしましょう。

胸を開く

胸を開く時には手のひらを外へ向けると良いです。

症例

症例1)30代女性


症状

 約一週間前から、体を動かすと肩甲骨の内側が痛い。特に右側。

 慢性的に肩こりはあるが、ここまで痛くなったのは初めて。原因として思い当たるものもない。



 右側の首の後ろ側から肩甲骨の上部あたりにかけての筋肉が非常に緊張して硬くなっていた。

 上を向くと右後頭部の首との境目あたりに、下を向くと首の下のほうの右肩甲骨に近いあたりに痛みが出る。



頚椎1番と胸椎2番に歪み



施術

 頚部から肩甲骨内側の筋肉の緊張を緩和させる操作

 頚椎と胸椎の矯正


 肩甲骨の内側には菱形筋、その上に僧帽筋があり、このどちらも頚椎から出る神経の支配を受けていますので、こういう場合は頚椎のバランスを整えます。


 そして、筋肉のつながっている胸椎にも歪みが出ているので、胸椎のバランスも整えます。



 術後

 一週間後に二度目の施術。初めの施術で6割ぐらい良くなっていたが、まだ痛みは残っていた。

 また一週間後に三度目の施術。この時点で痛みは殆ど消えていたが、念のため施術。



 慢性的なものではなかったので、回復が早かったものと思われます。

 その後は、通常の肩こりで、時々御来院いただいています。



症例2)20代女性


 よく来て下さる方が、背中がつめたい感じがするとおっしゃっていました。


 ちょうど肩甲骨の間の辺りで凝りやすいところ。猫背が強くなって丸くなって、背骨も後ろに飛び出し気味でした。


 冷たい感覚は凝りすぎて血行が悪くなっていることから出た感覚ですので、念入りに筋肉をゆるめて、さらに背骨を調整しましたところ冷たい感覚は治まりました。


 小さなお子様をお連れでしたので、抱っこなどの世話によって背中が強く凝ってしまったのでしょう。抱っこ紐を長時間使っていたりすると凝りますよね。


 ちなみにこの方の場合は背中が丸く、背骨が後ろに飛び出した感じになっていましたが、僕が見る限りこの個所はストレスの影響も出やすいようで、強いストレスがかかると逆に凹んだようになることがあります。

 急に強く痛みだしたような時はそういうことが多い気がしますね。

症例3)抱っこ紐で背中の痛み 産後のお母さんに多い症例

 新生児とか月齢の浅いお子さんに使う腰ベルトのないタイプの抱っこ紐だと、肩から背中だけで支えるのでそのあたりにかなり負担がかかります。


 ものにもよりますが、腰ベルトのないものだと、だいたい赤いラインのあたりに抱っこ紐のベルトが来るので、長時間の使用でこのあたりが特に痛くなります。筋肉としては肩の僧帽筋、肩甲骨の内側の菱形筋、肩甲挙筋などですね。


 お子様の月齢が進むと体重が重くなってきますので、腰ベルトのないものだと耐荷重を越えるので使えなくなってきますが、たぶんその前に肩と背中が相当つらくなるでしょう。


 もちろんエルゴベビーのような腰ベルトのあるものでもこのあたりは非常に疲れるのですが、腰のほうにも負荷が分散するので、背中は少し楽です。が、その分腰が疲れるということもありますけどね。


 というわけで縦抱きできるようになったら、負荷を分散できるという意味で腰ベルトもあるものがやはりお勧めでね。


 痛くなってしまったら、その箇所の血行がかなり悪くなっている証拠。その筋肉をよくほぐすとか温めるとか動かすとかして、血行を回復させる必要があります。


 我慢しているとと痛みがひどくなることもありますから、なにかしらの対処をした方が良いです。


 当院の施術では首肩背中腰の強く凝っている筋肉をほぐしてゆるめ(場合によっては腕なんかも)、背骨や肩甲骨などの調整を行います。




(2019年1月ブログ記事、8月ブログ記事に加筆修正)