頬杖やうつぶせ寝による顎のゆがみと痛み

Jaw distortion and pain due to cheeks and lying down

 長時間の頬杖は良くありません。うつぶせ寝にもご注意。


 歯が痛いので医者に行ったものの、虫歯ではないと言われることがあります。


 現代の仕事はPC作業などのデスクワークが長いですね。その際、皆いろいろな姿勢をとりますが、長時間にわたりますので、その姿勢によっては不調を引き起こすこともあります。


 頬杖もその一つ。


 いつも同じ側で頬杖をついているということは、下顎の一方から反対側への力が長時間にわたりかかり続けることになりますので、それがたとえ小さな力でも、押されたほうに下顎がずれる力が働きます。

 下顎のずれは実は顔をよ~く見ればわかります。


 そして同じようなことはうつぶせに寝ることでも起こります。


 先日顎が痛むということでご家族のご紹介でお越しになられた方は、うつぶせで寝て起きたら顎が痛くなっており、あくびのように大きな口を開けて閉じる時や硬いものを咬んで粘るような時に痛むとのことでした。

外側翼突筋

 痛みの場所は頬骨の下あたり。写真で言うと水色のハートのあたりですね。


 ここは外側翼突筋という筋肉で、下あごをスライドさせて食べる時に物をすりつぶす動きを司ります。過剰に緊張してしまうと、下あごを前後左右にスライドさせたりする時に痛みが出ますが、口の開閉時にも痛みが出ることがあります。


 うつぶせで寝た際に、下あごが押されてズレた状態が長く続いたためにこの個所に負担がかかったのではないかと推測されました。

外側翼突筋を押す

 写真のように、頬骨の下のくぼみのあたりで硬いところをほぐしてゆるめるのが有効です。強く押しすぎないのが良いです。

 お越しになった方の場合は強い肩こり症状もあり、僧帽筋がかなり張っていました。

 顎の痛む側の僧帽筋とこの外側翼突筋を同時に押すと外側翼突筋がよくゆるむようでしたので、僧帽筋もゆるめるようにしました。


 この方は元々顎の関節音をお持ちで、ここに来る前に口腔外科を受診され、関節の中の異常が痛みの原因になっていると診断を受け、マウスピースを勧められていました。

 それもあってか、施術が終わった後もまだ痛みが残っていたため、本当に筋肉の緊張が原因なのか半信半疑だったようです。


 が、後日ご家族の方がお見えになって、この後良くなったとのお話を伺い、ホッといたしました。



 上の方の場合もそうでしたが、下顎がずれてくると、顎の関節がうまくかみ合わなくなってきます。

 顎関節の中には関節円板という膝の半月板のようなものがありますが、上顎の関節面、関節円板、下顎の関節面、それらが下顎のずれで合わなくなって、カクカク音が出たり、そのあたりが痛くなってくることがあるのです。

 これらがいわゆる顎関節症と呼ばれます。


 そして多くの場合、当初はズレだけで痛みは出ていませんが、周辺の筋肉などの組織への負荷が大きくなってくると痛みまで出てくる状態になります。


 ところが、痛みが出てそれでもしばらく放置していると当初の痛みが治まってくることがあるんです。


 このズレだけが残ったような状態、これが厄介。ずれた状態が当たり前になってしまっている慢性状態で、こうなってしまうと治すのに時間がかかってしまうのです。


 ですので、関節音や痛みが出てきたら、あまり放置せず、専門家に見てもらうことをお勧めします。


 またご自分で特に気を付けることとしては、

・まず頬杖をやめる

・痛い場合は痛みの出る動かし方をなるべく避けておく

 です。


(2016年1月ブログ記事、2018年2月ブログ記事に加筆修正)