ソファーを使うことによる腰や首の痛み

Lower back and neck pain on the sofa

 長時間の使用により体が痛くなることがあります。


 ・ソファーで寝ていて背中が痛くなった

 ・ソファーで仕事をしているうちに腰が痛くなってきた

 ・立ち上がる瞬間、腰にギクッと痛みが走った


 などという症例を時々見ることがあります。

 ソファーは本来座るものですからね。というわけでソファーでの話です。


 「座るときの痛み」で多いのが、

・ソファーに長く座っていて腰がだんだん痛くなってきた

・腰が痛いのでソファーで座っていられない

 です。

 ソファーに座っている時の体勢は上のように背中や腰を丸めた状態です。

 背骨でみると、通常ならば腰の骨(腰椎)は立っている時には前湾(前側に凸)し、骨盤も少し前に傾いているものです。

 しかしソファーに座ると上のように腰が丸くなります。腰椎が後湾し骨盤も後ろに傾きますから、骨格的に通常と逆の状態になります。

 特に仙腸関節(赤いライン)に通常とはちがう力がかかります。

 ソファーで腰が丸い状態を続けていると腰を伸ばしたくなるものですよね。そうやって動かして体を戻したくなるのが普通。立ち上がる時、調子が悪くなければ関節の状態はすぐに通常に戻りますから痛くありません。

 ですが、もともとこのあたりの腰の筋肉が疲れて硬くなっていたりすると、通常の状態にすぐに戻りません。筋肉はリラックスしていたり、動かして伸び縮みできている時は良いですが、不自然な姿勢を長時間とったり、同じ動作を何度も反復するというのには弱いのです。限度を超えると痛くなってきます。

脊柱起立筋

 その筋肉はというと、まず背骨の横の脊柱起立筋。特に下のほうの赤で囲ったあたりが緊張して痛くなります。

 

 分かりやすい例ですと、ソファーに座り、ローテーブルでノートパソコンの作業長時間行うということが続いたりすると痛みが発生します。


 前かがみの姿勢は一見腰や骨盤の周囲の筋肉には力がかかっていないため楽そうですが、実は逆にお腹の奥のインナーマッスルは縮められ緊張していることがあり、長時間そのままいると負担になります。


 というわけで、腰の筋肉をチェックするのはもちろんですが、さらにチェックしておきたいのが腰の横の奥の腰方形筋とお腹の奥にあるインナーマッスル腸腰筋。

腰方形筋の圧痛点

腰方形筋は赤の点の奥あたり。

腸腰筋

 さらに骨盤の内側の腸腰筋(指で押さえているあたり)。これらが緊張して腰痛を引き起こしています。腸腰筋は腸骨筋と大腰筋からなります。


・腸骨筋・・・腸骨の内側の縁から骨盤を抜けて大腿骨の上の方の内側につながる


・大腰筋・・・胸椎12番・腰椎1~5番から骨盤を抜けて大腿骨の上のほうの内側につながる

 これらが何らかの理由で過剰に緊張してしまうと、ここに力がかかった時に腰や下腹部・鼠径部のあたりに痛みが出ますので、下腹部痛を併発しているかもチェックします。


 スポーツなんかで傷めることがありますが、通常の生活の中でだと、長時間しゃがんでいた、長時間の自動車運転のように、この筋肉を縮めたような姿勢で長く過ごしたりすると傷めることがあります。

 急な暴飲暴食でお腹の筋肉が張ってしまい傷めるような例も見たことがあります。


 痛みは片側のみか、もしくは片側が強いので、そちら側の上記の筋肉をチェックして、緊張箇所はよくゆるめます。施術ではさらに腰椎や骨盤の矯正を行います。


 片側に出ているということは体重が偏ってかかっているということなので、そちら側のお尻や脚の筋肉も逆側よりも張っているものです。そういうところもよくゆるめると腰の動きが変わります。

 

 骨格では中でも腰椎5番は体の前屈後屈の際によく可動する箇所で、ここがスムーズに動かないと前後屈がつらくなるので要チェック箇所です。が、痛みが強い場合は強い力で背骨や骨盤を押すと余計に痛くなってしまうので、そういう時はやんわりと優しく戻します。 


 さらにやはり仕事の際の姿勢を見直す必要がありますので、通常のデスクでなるべく仕事をしてもらうことをお勧めします。

 痛みがある場合は痛い姿勢や動作はとらないほうが良いので、ソファーには座らないことですね。


 腰を丸めないよう骨盤を立てるようにして座ることが必要なので、

・床に座るなら正座。

・椅子に座るなら背もたれに深くかけ、腰を丸めず、背もたれに体を預ける。腰のところにバスタオルなどをはさんで、腰椎の前弯を保つようにする。

のが良いでしょう。


 とりあえず、急な痛みが出た際は無理せずになるべく楽な体勢で休むようにしましょう。

 では、次にソファーで寝ていて痛くなる場合です。

 ソファーでは、肘を置く所を枕にして頭を置くか、クッションをその間に入れるかして寝ると思います。

 そうしますと仰向けでも横向けでも頭の位置がかなり高くなりますので、首にはかなりの負担になります。


 さらに横向けの場合、下にした側は首から腰にかけて引き伸ばされ、上にした側は逆に縮められた状態です。

 いずれの側も不自然な姿勢を強いられていますので、どこかに筋肉の緊張が起こりやすいです。

 ちなみに先日いらした方の場合は、上にした側の背中から腰にかけての筋肉のあちこちが非常に緊張していました。

 ソファーで寝ると寝返りを打てません。

 人間は寝ているときに時々寝返ることで体の同じ所ばかりに負担がかかることを避けていますが、ソファーではそれができないので、寝ている間に痛めやすいといえます。


 やはりちゃんと布団で寝ましょうね。



(2017年3月ブログ記事に、2018年8月ブログ記事加筆修正)