肘の痛み、テニス肘・ゴルフ肘

Elbow pain

 肘の痛みで多いのが外側の痛み、いわゆるテニス肘というものです。


 ですが、肘の外側の痛みはテニスに限らず、ラケットなど何かを握って打つようなスポーツ(スカッシュやゴルフなど)でも起こる可能性があります。


 テニスだと特にバックハンドで手首を返す動作を多く繰り返すとなりやすいですが、強くフォアハンドを打つ痛むという症例にも会ったことがあります。


 また、長時間にわたりパソコンのキーボードを打つことでも起こることがありますし、先日も、原因は分からないが、肘の外側から前腕が急に痛くなって、引き出しを引っ張るような動作で痛むという症例を見ましたので、様々な理由で発生するようです。



 テニスの場合だと、原因として考えられるのは、


・手首を過剰に使うような打ち方、

(例)・バックハンドで手首を返す

   ・フォアハンドで手首でスピンをかける

とか、

・グリップの太さが手の大きさに合っていない

・ラケットが重い


 など色々考えられるようです。


 また、発症の年齢は40歳以上に多いようで、筋肉や腱などの回復が遅くなってくるからともいわれています。


 テニスやゴルフなどのスポーツ中にいきなり強い痛みが出たりしたなら、まずはアイシングしたほうがよいでしょう。医師に診断してもらって、腱の断裂のようなものでなければ、しばらくテニスを控えて休ませる必要があります。


 前腕部に強い筋肉疲労や硬いコリコリした個所がありますので、それをゆるめる必要がありますね。

腕橈関節・橈尺関節

 痛くなるのは青丸のあたり。上腕骨(肘の骨)と橈骨、尺骨の関節のあたりです。押すと痛みが出ることもあります。上腕骨と尺骨の間の外側側副靭帯のあたりにも痛みが出ていることもありますね。

 これら痛みの場合、何かしらの反復動作による使い過ぎで筋肉の過剰な緊張が起こり、緊張が抜けなくなっていることが原因になります。

 物を握って力を込めるような動作で肘の外側あたりに痛みというと、橈側手根伸筋の過剰な緊張がまず第一に考えられます。

橈側手根伸筋

 手首の痛みの時にも関連するこの筋肉、実は上腕骨の肘の外側から手首までつながる長い筋肉で、(写真の赤線は触りやすい箇所だけになっています)過剰に緊張すると手首に痛みを出すだけでなく、肘の外側にも痛みを出すことがあるんですよ。


 手首を甲側に曲げるような動作を繰り返すと傷めやすい箇所で、スポーツではテニスやゴルフで傷めやすいです。

 テニス肘やゴルフ肘という症状の際には肘の周辺の筋肉を何か所かチェックするのですが、ここは外せないチェックポイントですね。

 これ以外に関連する筋肉としては

・尺側手根伸筋

・腕橈骨筋

 あたりですね。


 これらどの筋肉も肘の外側、上腕骨の外側に付いています。そこから手首の方に繋がります。

 このように上腕骨の外側には多く筋肉が付くので、反復して手首を反らせるような動作を行ったり、長時間にわたって手首を反らせていると、負担がかかって痛みが出るのです。また場合によっては手首にも痛みを感じるということもあります。


 上に挙げた引き出しを引く動作で痛むというような症例の場合、取手の形状などにもよりますが、取手を握る時にやや甲側に手首を曲げ、そこで力を入れて引くことになりますので、力がかかった時に痛みが発生していたのでしょう。


 この時はその筋肉を少し押してみたところ、ちょっと痛かったようで、「うっ」となっていらっしゃいましたが、しばらくゆるめるようにほぐしたところ、動作による痛みはだいぶ治まったようです。

橈骨手根伸筋

橈骨手根伸筋はだいたいこのあたり。

 肘あたりに痛みがある場合は、肘の近くに押すとちょっと痛いような箇所があると思いますので、そこを痛いけど気持ちの良い程度の力でほぐしてやると良いでしょう。

ちなみにその小指側横

・尺側手根伸筋

 もあります。

腕橈骨筋

親指から肘へ向かって上った、肘の下あたり。

 このあたりに押すと痛い所があると思いますので、見つかったら気持ちいい程度にもみほぐしましょう。

 さらにストレッチしておくのも有効です。

橈側手根伸筋のストレッチ

 このように肘を伸ばして手首を手のひら側に曲げる。

腕橈骨筋

さらに腕を内にひねって、手のひらを外側に向けてください。

 強い痛みが治まったら、これら筋肉を中心に前腕部から肘にかけてをよく温めて血行を良くしておくのも回復を早めます。


 スポーツの再開は、痛みがなくなってから、徐々に行う必要があります。また、上に挙げたようにフォームの見直しなどが不可欠です。



 梅雨時期や初秋のような、日中暑くても夜は気温が下がるような季節には、寝る時は長袖にして肘を出さないほうが良いでしょう。特に痛みがある場合は冷えは厳禁です。



(2017年6月ブログ記事と2019年6月ブログ記事に加筆訂正)