膝のお皿の下の痛み(ジャンパー膝)

Jumper knee

 ジャンプ動作のし過ぎはもちろん、脛骨のズレによっても起こります


 膝のお皿の下の痛みでのご来院が何軒か続きました。


 屈伸運動すると痛むと言う方と走ると痛むと言う方がいらっしゃったのですが、痛む箇所はほぼ同じ。

膝蓋靭帯

 お皿の下のあたりです。ここは膝蓋靭帯が覆うところ。


 実はスポーツ障害ではジャンパー膝と呼ばれる症状でもあります。ジャンプ動作を繰り返すと膝蓋靭帯に使い過ぎ疲労で炎症が出るものです。

 が、ここの痛みはそこまでの疲労ではなくとも起こることもあるんですよね。それが今回のような脛骨のズレによるケース。


 屈伸すると痛むと仰る方は両膝、走ると痛むと仰る方は右膝に症状がありましたが、いずれの場合にも押すと痛みが出ました。


 靭帯にも押すと痛みが出るような圧痛点が発生することがありますので、まずはその箇所をゆるめることが必要です。


 さらに脛の骨がわずかにズレて膝の痛みになる事もあります。多いのは脛が外側にズレている場合。

脛骨のズレ1

 外にずれるというのは水色の←のほう。なのでこの場合は内に戻すように赤い→側にもっていくように圧をかけます。

脛骨のズレ2

もう一つは後ろにずれる場合も多いです。

 後ろに行くというのは赤い←のほうなので、この場合は手前に引き戻すように青い→のほうに引っ張る圧をかけます。

 両膝痛むとおっしゃった方の場合も片膝の方の場合も、これらの施術を数回行いましたところ、徐々に症状が治まってきました。


 このような症状は使い過ぎによって起こることもありますが、片膝に症状がある場合は特に体のバランスが悪くなっていることもあるので、その場合はそれも調整する必要があります。

 症例1)

 どこか痛くなるたびに連絡をくださる方から、久しぶりのご連絡。

 今回はお母様を見て欲しいとのこと。


 お越しになられたお母様のお悩みは膝の痛み。

 ・このひと月ほど右膝が痛む。体重をかけられない。

 ・膝の内側からお皿の下、膝の裏に主に痛みがある。

 という症状。

 整形外科でも診てもらっており、3回膝にヒアルロン酸注射をしてもらっているが、症状は変わらないとのことでした。

 (写真では主な痛みのエリアを赤で示しています)

膝の下

 観てみますと、まず右脚のほうが左脚に比べて全体的な張りがあります。特に右太ももの筋肉の張りが強い状態。

膝の裏

 このように全体的な張りがあるということは、何かしらの理由で体重が右に偏ってかかることで、右脚の筋肉が非常に疲労してしまっているんですね。


 体に疲れが溜まっていたり、冷えてしまっていたり、まあなんせ調子が悪い時っていうのは体重の偏りが大きくなっています。

 この方にお聞きすると、もう何年か前から週に3度某ジムに通っているとのこと。

 もしかしたらちょっと頑張って運動を続け過ぎたのかなあ?


 少しご高齢になってきていらっしゃることもあり、初回の施術ではあまり余計に他の場所を触らず、右脚全体をほぐしてから、特に張りの強い大腿四頭筋(内側広筋)や膝窩筋を念入りにゆるめて、膝関節の脛骨を戻す、これを行いました。


 膝の関節では、主に大腿骨と脛骨の位置関係が問題となります。

脛骨のズレ

 膝が痛いという時は大腿骨に対して脛骨が外側にずれてしまっている(上の写真の青の矢印方向)ことがとても多いです。真横にずれるのではなくて回旋するんです。

この方の場合も右膝の脛骨がやや外側にずれていましたので、それを戻すようにいたしました。


 施術後は歩いた時の痛みがかなり軽減されたとのことで、無理して運動とかはまだ行わないようにとお話して終わりました。



 一週間後、まだ少し痛みが残るのでまた見てもらいたいとお電話をいただきましたのでお越しいただきました。


 痛みが残るのは膝のお皿の下の部分。

膝蓋靭帯

ここは膝蓋靭帯という部分です。

 触ってみて反対側と比べて張りがあったり、圧痛が出ていたりすればすぐわかりますが、この方の場合も圧痛がありました。

 この靭帯は太ももの大腿四頭筋が膝のお皿を覆うようにして脛骨までつながった、靭帯でも腱でもあるもので、やはり太ももの張りと非常に関係します。


 ですので、初回の施術と同様に右脚全体の筋肉の張りをほぐしてゆるめ、さらに太ももの大腿四頭筋をほぐしてゆるめ、さらに今回は膝のお皿の下の靭帯のかたさをゆるめて、脛骨の位置を調整。

 あと今回は右脚に体重が偏ってかからないように、骨盤の位置を戻しました。

 正確にいうと、戻すというより左右がスムーズに動くようにする感じですね。


 終ったあとはスムーズに歩けるようになったとのことでした。


 その後はご連絡がないので、たぶん悪い状態に戻ったりしていないのではないかと思います。



(2019年1月ブログ記事、2021年8月ブログ記事に加筆修正)