原因不明の下半身のしびれ

Numbness in the lower body of unknown cause

 お尻からハムストリングス、ふくらはぎ、足の裏までのしびれ


 突然どこかが痛くなったりすることがありますね。

 時々あるのが、お尻から脚の裏まで、脚の後ろ側にしびれる感じが突然出てきた、というもの。


 脚の筋肉を触診してみて、しびれの箇所に張りや圧痛があれば筋肉の過剰な緊張で、血行不良が起き、しびれを引き起こしていると考えられます。

 このような場合にはたいてい片側の症状か、もしくは両側に症状はあるものの片側の症状が強いです。


 症例を2つ挙げてみます。

症例1) 先日あったのが、お尻から脚の裏まで、脚の後ろ側にしびれる感じが突然出てきた、というもの。


 立っていても何をしていてもジーンとしびれが切れたような違和感があるようで、うつぶせに寝てもらってみたところ、お尻、太ももの裏、ふくらはぎまで筋肉に張りがあり、少し押してみると張ったところを押されている痛みがありました。


 初回はとにかくまずお尻から順に下へ足の裏まで入念にほぐしてゆるめ、骨盤と腰、足首を微調整しました。


 お尻から脚の裏側にかけての症状と言うと、体重が後方にかかっており、その負担が原因となることがあります。

 こういう場合、足首、踵をちょっと調整しておくと体重のかかるバランスが良くなります。


 初回の施術後、しびれ感は半分以上消えたようでした。


 二回目の施術は5日後。この時点でしびれ感が残っていたのは太ももの裏のみ。太ももの裏と言うのはハムストリングスという筋肉があります。

 ハムストリングスは大腿二頭筋(真ん中から外側)、半腱様筋・半膜様筋(真ん中から内側)からなり、この時に残っていたのは半腱様筋・半膜様筋の張りでした。


 おそらくこのハムストリングスを中心にして、上はお尻まで、下は脚の裏まで、筋肉の張りが続き、それがつながって下半身全体のしびれになったのでしょう。


 そのため、この部分をまた念入りにほぐしてゆるめ、骨格のバランスを調整。

 施術後はこの部分のしびれもなくなりました。


 ハムストリングスをストレッチしておくように指導して終了。足をちょっと高い椅子にでも載せて体を前に倒す、バレリーナがやるあれです。あんなに高くなくて良いんですけどね。


 しびれがなくなったのは良かったのですが、結局なぜハムストリングスを中心に脚の裏側の筋肉が張ってしまったのか、その原因がよくわからなかったのが残念です。


 脚が冷えるような状況にあったとか、合わない椅子に長時間座っていたとか、何かあるのではと思ったのですが、問診では見つけられませんでした。

 症例2)

 10月初め、よく来て下さる方が、

 「最近明け方になると右の太ももの裏からふくらはぎにかけてしびれることがある。でも毎日ではない。」

 と仰っていました。


 太ももの裏、ふくらはぎを押してみると、確かに左に比べて張りがあり、押すと痛みが出る箇所もありましたので、これは筋肉の緊張によるものだとわかりました。しびれと痛みは同じ神経細胞で受け取るので、感覚としてはかなり近いんです。

半腱様筋・半膜様筋

 特に太ももの裏の上のほう(上の写真の赤い丸)に圧痛がありましたが、ここは坐骨の下で、ハムストリングスの付け根に当たります。

 ハムストリングスのうち、半腱様筋・半膜様筋に緊張があるとこのあたりが痛くなるんです。


 仕事で長く座っていると痛くなることもあるとその方は仰っていたので、この個所の張りが痛みや寝ている時のしびれの原因になっているようでした。

 元々右の腰痛が出やすい方なので、おそらくは重心が右に偏りやすいタイプなのだと思われ、それによって体の右側が疲れて症状が出やすいと推測されます。


 この時はこの右の太ももの裏とふくらはぎの緊張箇所を念入りにほぐしてゆるめ、体のバランスを全体的に調整いたしました。


 さて、なぜこの時期に寝ていて明け方しびれるようになったのか?

 寝ている状況を伺いましたところ、まだ半袖半ズボンで寝ていらっしゃったので、おそらく冷えたのではないかと思います。


 寝る時はまだ暑いですが、明け方は温度が下がってきました。

 もともと右脚が疲れて血行が悪くなりがちなところに、冷えが重なって、さらに血行が悪くなるので、しびれ感が出てしまったのでしょう。


 そろそろ長袖長ズボンでお休みくださいとお話させていただきました。



(2016年2月ブログ記事、2019年10月ブログ記事に加筆修正)