太ももの裏側の痛み(お尻の痛みを伴うことも)

Pain in the back of the thigh

 スポーツなどで傷めることも多いです。お尻の痛みを伴うことも。


 スポーツで傷めたものと、いつも通り普通に仕事をしていて発生したものの2つの症例を挙げてみます。



(症例1・・・スポーツで傷めたもの)

 2ヶ月前にストレッチ中、右太もも裏に痛みが走ってから、前屈すると痛みが出るようになった。痛みはずっと変わらない。


 この方の場合、音はしなかったようですが、おそらく悪いタイミングが重なったのか、やはり傷めてしまったようです。


 見てみると、右の半膜様筋の膝に近い内側あたりに硬く張った所があり、押すと痛みがありました。トリガーポイントです。


 ここを中心に筋肉をほぐし、トリガーポイントを緩めるように操作し、右骨盤のバランスを調整しました。

 ここの筋肉は坐骨に付いていますから、骨盤の調整は重要ポイントです。


 一週間後、2度目の来院時

 前回来た時よりも少し前屈できるようになっているが、まだ痛み残る。

 施術は、前回とほぼ同様に行う。

 施術後はかなり前屈しても痛みは出なくなった。


 その後2週間ほどして、電話で様子を尋ねたところ、痛みはなくなったそうですが、筋繊維が微細に損傷した場合は回復するのに少し時間がかかりますね。


 体を動かしている方に限って、こういうのは時々起こります。

 いつもどおりストレッチしているのに、なぜかその時に限って痛くなってしまうなんてこともあります。

 原因はよくわからないのですが、実は私にも似た経験があります。


 以前いつもどおりストレッチしている最中に、右太ももの上の付け根、お尻のすぐ下の辺りを傷めました。その時はブチッという音がしましたが、あれは今考えると、筋肉の繊維がほんの少し切れたのではと思っています。



 さらに、お尻から太ももの裏にかけての痛みがつながって出ることも時々あります。


 このような場合、やはり見るべきはお尻と太ももの裏。うつぶせで見るとと左側のお尻が盛り上がっていたりして、骨盤のズレとお尻の筋肉の緊張による張りが見られます。太ももの裏も痛くない側と比べ強い張りがあり、押すと痛みがあります。


 多いパターンとしては、お尻のくぼみのところにある梨状筋と脚の付け根の出っ張った骨の内側あたりにある大腿方形筋に強い張りがあります。

 そこにハムストリングスの痛みが重なるためにお尻から脚まで一連が痛いように感じるのです。

梨状筋

お尻のくぼみの奥。

大腿方形筋

お尻と脚の境目あたり。

 緑色が大腿方形筋で、赤線は太ももの裏のハムストリングス(大腿二頭筋と半腱様筋・半膜様筋)という筋肉。


 これら強い張りが出ている箇所を、入念にほぐしますと痛みはかなり軽減します。


 太ももの裏側は前屈するような形でストレッチできます。

 梨状筋や大腿方形筋は、内股で座るような体勢でストレッチできます。が、ストレッチしにくい場所ですので、無理はしないでください。

 写真は寝ていますが座るだけでも良いです。男性は苦手な体勢だと思います。

(症例2・・・普通に仕事をしていて発生したもの)


 ご近所の方から今から見てもらえませんかと急なお電話がありました。


 お越しいただくと左のお尻から太ももの裏、ふくらはぎ、脚の裏にまでしびれがあるとのことで、以前にも同様の症状が出たことがあったもののその時はしばらくして治まったのでそのままにしていたら、また出てきたので、今度は大きな病院で診てもらったそう。

 しかし画像診断では特に異常は観られず、おそらく筋肉の張りではないかと診断を受けたとのことでした。


 筋肉に緊張がある場合は触ればだいたいすぐわかります。症状のないほうと比べて硬かったり盛り上がってたりしますし、患者さんのほうも痛かったりするものです。


 で、この場合も左のお尻から脚の後ろ側に張りがあって、押すと痛みが出ていました。中でもお尻と太ももの後ろ内側に強い張りがありました。

 赤で塗ったあたり、お尻の筋肉は大殿筋、中殿筋、奥の梨状筋。太もも裏は半腱様筋・半膜様筋。

 別角度で見ると、太もも裏から内側にかけての張り。半腱様筋・半膜様筋のさらに奥の内転筋のほうにも少し張りが見られました。


 立ち仕事で、おそらく左側に体重をかけ気味になっており、その疲労が蓄積して今回のしびれになったのではと思われました。なので、まずこのあたりを重点的にほぐしてゆるめ、さらに偏った体のバランスを戻すべく骨盤の調整もしておきましたら、とりあえずしびれは治まったようです。


 しかし、また仕事をしだしたらおそらく疲労が溜まってくるので、しびれがぶり返さないうちに何度かお越しいただくのが良いとお話いたしました。

 太ももの裏のストレッチは症例1と同じで良いですが、お尻のほうはこれとか、

これらのようにすると良いです(2枚とも左殿筋のストレッチ)。



(2017年8月ブログ記事、2019年3月ブログ記事に加筆修正)