お尻の下の方、脚の付け根の痛み

Pain in the lower part of the buttocks and at the base of the legs

 大腿方形筋の緊張の過剰な緊張


 お尻の痛みでお越しの方は割と多いのですが、ほとんどが筋肉の緊張によって起こっています。

 一口にお尻と言っても、お尻には大小さまざまな筋肉がついており、その箇所によって原因の筋肉も違います。


 時々あるのがお尻の下の方が痛く、歩いたり動く時に痛むというもの。

大腿方形筋

 模型で言うと、ちょうど赤い線の辺り。お尻と太ももの境目です。

 ここには大腿方形筋という筋肉があり、坐骨と大腿骨をつないでいます。赤い線のところです。

 時々ここが強く緊張して痛みを出していることがあるのです。

 大腿骨につながっているので、歩いたりするときに痛みます。

 坐骨から外側にかけてなら上の大腿方形筋が原因筋になることが非常に多いのですが、

 坐骨の真下であれば、太もも裏のハムストリングス、

 坐骨のやや内側であれば内股の内転筋、

 と原因筋が違ってきますので、痛みの箇所を正確に把握する必要があります。


 いずれの筋肉でも、痛みがある側はない側と比べ筋肉に張りがあり、押された感じも痛いのですぐわかります。

 原因の筋肉をよくゆるめると痛みは治まってきます。


 そちら側に体重がかかりやすくなっていると痛みを増すことになるので、骨盤などのバランスを整えておくと良いです。

 (症例1)


 先日、急にお尻あたりが痛くなってどうにもしようがないと言う症状でのご来院がありました。

 4週間ほど前に姿勢を改善したいと初めていらした方でした。


 おとといからお尻から脚の付け根の辺りが急に痛くなり、寝てても動いても痛み、座ってお尻が座面に当たるのもつらいという症状。


 座って座面に当たっても痛いという症状から察するに、坐骨あたりにつながる筋肉の過剰な緊張が原因として考えられました。

股関節外旋の時に働く筋肉

 お尻の筋肉というと、大殿筋が表面を大きく覆っておりますが、その奥には小さな筋肉もあります。

 股関節を外に開く(外旋)するときの筋肉です。

 大まかに見ると

 ・梨状筋・・・赤いライン

 ・(上下)双子筋 と(内外)閉鎖筋 ・・・水色のライン

 ・大腿方形筋・・・黄色いライン

 があり、梨状筋と大腿方形筋は触ってわかりやすいです。


 この中で坐骨にくっついてくるとすると

 ・(上下)双子筋 と(内外)閉鎖筋 

 ・大腿方形筋

 が怪しかったので、押してみるとやはり結構張りがあり、痛みが出ました。


 ですので、このあたりを入念にほぐしてゆるめ、骨盤を調整したところ、かなり痛みは軽減したようです。


 お孫さんのお世話をしていて疲れが出たのかもと仰っていました。

 (症例2)

 産後すぐから脚を動かそうとするとお尻側に痛みがあるとおっしゃる方がいらっしゃいました。

 もう産後9か月になっていましたが、脚を挙げようとしても少ししか挙げられず、痛みを我慢して歩いていらっしゃいました。


 初め股関節あたりが痛むと伺っていたのですが、実際に観てみますと股関節に近いお尻の上のほう。

 筋肉で言いますと中殿筋に動作での痛みと押したときの痛みがありました。

中殿筋

写真の水色の辺りです。

 ここが強く緊張して、伸び縮みすることができず、動かすたびに痛みが出ているようでした。


 肩や首のコリも昔からあると仰っていたのですが、まずは一番のお悩みである中殿筋にある程度的を絞って念入りに施術いたしました。


 ほぐしてゆるめて、骨盤の調整を行いましたところ、とりあえず痛みは半減いたしました。

大腿方形筋

 次10日後にお越しの際には、かなり痛みは減ってはいるものの、脚を挙げた時の痛みは残っているとのこと。


 今回はお尻から大腿骨の大転子というところにつながる筋肉(大腿方形筋など)に張りがあり、大転子の後ろを押すと圧痛が見られました。


 ここをよくゆるめて骨盤のバランスを調整しましたところ、終わった時には脚を挙げても痛みは出なくなりました。


 産後すぐから痛んだということでしたので、おそらくはまだ骨盤をつなぐ靭帯が回復していない状況でお子様の世話などで動かざるを得なかったために、骨盤の周囲のお尻の筋肉に負担がかかり、その際に特にこの右の中殿筋への負担が多かったのではと考えられました。

 (症例3)

 お尻側の脚の付け根が一月ほど前から痛むとおっしゃる方のご来院がありました。


 座る、立つなどの動作をする度に痛みが走り、しばらく痛みが続き、そのまま動かないでいると落ち着いてくる。


 これといった原因として思い当たるようなこともなく、だんだん痛くなったそう。

お尻とハムストリングス

痛む場所を確認したところ、右のお尻から太ももの裏当たり。


 触って調べてみるとお尻の筋肉でも奥のほうの梨状筋(緑のあたり)や大腿方形筋(赤のあたり)に強い張りがあり、プラスしてハムストリングス(水色のあたり)など全体的に右脚に張りがありました。


 おそらく右側に体重がかかっており、その負担が右お尻に出たのでしょう。

 ゴルフを結構なさる方だからなのか、疲れが溜まっていたのか。疲れてくると体重が偏りやすいですから。


 なのでまず右の梨状筋、大腿方形筋を中心にほぐしで弛めました。

内転筋・恥骨筋

 さらにこういう場合、原因筋の反対側(拮抗筋)にも異常が出ていることが多いので、右股関節の前側もチェック。


 するとやはり内転筋前側(青のあたり)や恥骨筋(黄色のあたり)にも張りが出ていましたので、こちらも弛めるように施術しました。

 初回はこれら箇所に集中して施術を行ったところ、終わった時点では痛みは半減したとのことでした。


 あまりに痛みが強いし、数日後には仕事のゴルフがあるということでしたので、翌日もう一度お越しいただくことにしました。


 翌日お越しいただいたら、案の定お尻側の痛みはだいぶ減ったものの、今度は股関節の前側のほうが痛みが強く気になるとのことでした。


 そこでこの二回目の施術ではお尻側と前側を半々ぐらいで弛めるようにいたしましたところ、終わった時点では股関節前側の痛みはだいぶ減ったとのこと。


 そこから2日くらいは安静になさっていたそうで痛みは引いてきたとご連絡をいただきました。


 で、そこから2日後、またお尻が痛くなってきたということでご来院いただいたので、この三回目はどちらかというとお尻側を弛めるように施術。


 そのあとしばらくご連絡がありませんでしたが、そこから一週間ほどして痛みはほぼ無くなったとご連絡をいただきました。



 ただでさえ暑さで疲れますから、時々休息を取りながら夏を過ごしましょう。




(2017年11月ブログ記事、2019年8月ブログ記事、10月ブログ記事、2021年7月ブログ記事に加筆修正)