咳による腰痛

Back pain due to cough

 腹筋の緊張から出ることも多いです


  風邪をひきやすい季節。そして寒い屋外から暖かい屋内に入った時にくしゃみ・鼻水・せきなんかが出やすくなりますね。さらに日中の気温が低い日は喘息発作も出やすいです。


 さて風邪を引いたりして、咳を長期間にわたって繰り返していると腰痛が起こることがあります。


 咳をするときには、腰や腹などの胴体の筋肉を緊張させ腹圧が高くなります。長時間にわたり何度も咳を繰り返すことで腰部や腹部の筋肉が疲労し、緊張が抜けなくなってしまうと、伸び縮みできなくなり、痛みを引き起こすようになります。



 まず、腰部の筋肉であれば、一般的に背筋と呼ばれている脊柱起立筋群、背骨の脇の多裂筋、わき腹に近いところの腰方形筋なんかがあります。


・脊柱起立筋群(胸・腰腸肋筋と胸最長筋など)

 これらは背骨の横の太い背筋です。


・多裂筋・・・・背骨のすぐわきにある深いところの筋肉です。


・腰方形筋・・・・腰のややわきにある筋肉。


 これらの筋肉に緊張があると、当然腰が痛くなります。



 一方腹部の筋肉で腰側に痛みが出そうなものですと、腹直筋、内外腹斜筋、腹横筋、横隔膜、深いところで腸腰筋があります。


・腹直筋・・・・一般に割れた腹筋というとここのことです。背中と腰の下のほうに痛みが出ます。緊張があれば、お腹を押すと痛いです。


・腸腰筋・・・・大腰筋(および小腰筋)・腸骨筋からなります。腰と脚の付け根に痛みが出ることが多いです。大腰筋が緊張すると臍の横あたりを押すと痛いです。腸骨筋だと、骨盤の骨の内側を押すと痛いです。


・横隔膜・・・・咳による腰痛では、ここも原因になることがあります。痛みは胃のあたりと背中(腰より上の胃の裏のあたり)に出ます。


・腹斜筋・腹横筋・・・僕の見ている限りではこれらは腰よりはわき腹の方に痛みが出すように思います。


 腹直筋や横隔膜だと背中のほうに痛みが出やすく、腹斜筋はわき腹あたりに痛みが出やすいです。腰に痛みを引き起こすことが多いのは腸腰筋。

 通常の腰部の筋肉から起こるものであれば分かりやすいのですが、腹部の緊張から引き起こされる場合、その原因が腹部にあると気づかれにくいのです。

腸腰筋

 腸腰筋は骨盤を支える深部の筋肉で、上半身と下半身をつなげる重要箇所。膝を引き上げるときに使う筋肉です。

 骨盤の内側です(赤い線のあたり)。

 なので、ここが過剰に緊張すると膝を体に引き寄せるような動作の際に腰痛が出ます。

靴や靴下をはく

 靴や靴下を履く、ズボンを穿くような、こういう動作が辛いのです。

 なので、こういう腰痛にはお腹の奥をよくゆるめるのがポイントなのですが、

腸腰筋を押す

 自分で行う場合は、仰向けで膝を立てて骨盤の内側を押さえるのが良いでしょう。ポイントに当たると結構痛いので、痛いけど気持ち良い程度の力で行ってください。

 以前、旅行先で風邪を引いて腰痛になった方がいらっしゃいましたが、ホテルのベッドが柔らかかったのが災いし、かなり強く腹筋・背筋が緊張していました。


 この咳による腰痛は、腹筋側がとても緊張しているのが特徴なので、おなかのどこかを押すと、痛い所(トリガーポイント)が見つかるはずです。


 ですので、痛い所があれば、よくそこをもみほぐす、湯たんぽとかゆたぽんなどでお腹をよく温めるというのが有効です。お腹を冷やさないように。


 暴飲暴食でぎっくり腰になった方もいらっしゃいました。咳でなくても腹筋が緊張することがありますからご注意ください。



(2018年1月ブログ記事に加筆修正)