脚の長さが左右で違うことによる不調

Disorders due to different leg lengths on the left and right

 脚の長さを靴の中敷きで調整することも


 腰痛や股関節痛などでお見えの方を見ますと、極端に脚の長さが違っていることがあります。


 その原因は、後天的なものであれば、普段の体の偏った使い方が考えられますが、先天的に元々の骨の長さに左右差があるということもありますし、その両方が重なっていることもあります。


 人間の骨のと言うのは厳密に言うと左右全く同じではなくて、皆わずかながらもどこかに左右差を持っていることが多く、個人差があります。

 通常時は多少そういう左右差があっても、うまく補正して生活していますので、特にトラブルになることはありませんが、左右差が大きくなってしまうと力のかかり方に偏りが出るので、どこかが痛くなったりします。


 特に当院には産後の調子が悪くなってしまったママさんたちが多く来られますので、妊娠前にはなんともなかったのに、産後どこかが痛いというのをよく見ますが、産後というのはやはり特別なようで、そういう左右差が大きく出てきやすいようですね。


 産後すぐは骨盤が不安定な状態ですので、偏った使い方をするとそれが通常時より負担になります。例えば、いつも同じ側で添い寝、添い乳をする、いつも同じ側で抱っこするなど、があるとそれが偏った痛みの原因になりやすいですね。



自分で脚の長さの左右差を大雑把にみる場合、

まず鏡の前で足をそろえて立ちます。

腰骨の上の所に指を当ててみましょう。

どちらかの指が上に来ていればそちら側のほうが脚が長くなっていると言えます。


見た目では、脚の長い側で

・腰椎の凹カーブが深くなる

・そちらにお尻が寄る

・股関節が外に開き気味になる

・膝が反り気味になる(反張膝)

・膝下、すねの骨が外に向き気味になる

・足首が外に向き気味になる

・土踏まずが落ちる(偏平足、過回内)


このような傾向が見られます。

ただしこれはあくまで傾向。実際はもっと複雑ですので、

これらがあてはまらないこともありますけどね。


 脚の長さが違う場合、 脚の長さの左右差を体で補正してバランスをとっている場合には、たいてい長い側を短い側に合わそうとします。

 僕が普段見ている限りでは、脚の長い側のほうが歩行時に体重がかかりやすいので疲れが出やすく、だるさや痛みや不調なども出やすいようです。

脚長差

 例えば写真ですと左が施術前、右が施術後。

 施術前は右脚が長かったので、右の骨盤のほうが高くなっていました。その分右脚がものすごく重いという症状が出ていました。

 施術後は骨盤の位置が左右近くなって、症状も半減しました。

(ズボンのすそを見てみてください。)

 このように左右差がある場合、施術を行うことで脚の左右差がなくなってくるのですが、根本的に骨の長さ自体に左右差があるような、施術だけでは足りない場合も存在します。そういう場合は靴の中敷きを短い側の足だけに入れてもらうことを勧めています。試しに片方だけにスリッパを履いてもらったりして動いてもらうと、そのほうが楽だということがわかるのです。

 脚の長さの左右差の半分くらいの厚みを短い側に足して補正するくらいがちょうど良いみたいですね。


 施術では骨盤や背骨、股関節を調整するのですが、それだけだと左右差がなくなりきらず痛みを解消するのに不十分な時には、痛みが治まるまで中敷きを使ってもらうというのはなかなか有効なのです。あとは普段の姿勢や体の使い方を指導させていただいています。


 事故や怪我で骨の長さが変わってしまったとか、先天的に骨の長さが違うというならば、それが分かった時点で対処されているでしょう。

 

 というわけで当院に来られるような場合はそこまで極端な差ではないことが多いので、100円ショップで買えるような薄い中敷きを一枚入れるぐらいで大抵調整できます。