首や顎のコリ、顎関節と耳鳴り

Neck and shoulder stiffness,TMJ,tinnitus

 首や顎の筋肉の緊張と耳鳴りの関係


 首が凝ると耳鳴りがすることがあります。


 首の神経で言うと、カイロプラクティック的には1,2番のあたりが、(整体なら頸椎4番だから、神経で言うと3番かな)耳と関連すると言われています。


 また、筋肉の緊張によるトリガーポイント的なもので言うと、耳のあたりに関連痛が出るのは、

・僧帽筋

・後頭下筋群

・胸鎖乳突筋

・頸板状筋


 通常トリガーポイントというと、痛みやしびれを引き起こすと考えられますが、僕の見るところでは、耳鳴りのような違和感にも関連があると思います。


 特に上の4つの中でも、胸鎖乳突筋は原因になりやすいのではと思います。この筋肉は耳周囲だけでなく、顔全体に違和感を出す筋肉でもあります。耳の下あたりから首の前側の筋肉です。


 耳は頭蓋骨で言うと側頭骨にあります。側頭骨には乳様突起という箇所があり、そのあたりから鎖骨につながる首の前面の大きな筋肉が胸鎖乳突筋です。胸骨と鎖骨と乳様突起につながっているからそう呼びます。


胸鎖乳突筋

赤い線の間の筋肉が胸鎖乳突筋。この個所がとても凝ると、後頭部痛、耳周囲や目の周りの違和感などが出ることがあるんです。

 人によってその出方がまちまちで、中には耳鳴りの形で出てくることがあります。

胸鎖乳突筋をゆるめる

このような場合は、胸鎖乳突筋でも下あごのえらに近いところあたりに、押すと張ってるなあとか効くなあとかいう箇所が見つかりますのでそこをよくゆるめます。

 頸椎の1番も近いですね。(ピンクの★が乳様突起)

 先日も首が凝って仕方なく、先月から耳鳴りが続いているとおっしゃる方がいらしたので、ここの張りを見つけて入念にほぐしたところ、耳鳴りがかなり減ったとのことでした。


 耳鳴りのある方は、首周りをよくほぐしたり温めたりして、首の血行を良くしておくのが良いですよ。



 さて耳鳴りがこれら首の筋肉の緊張から来ている場合、理論的には、

・首の筋肉の緊張により頸椎が本来の位置からずれ、頸神経に影響をおよぼすことで、耳鳴りがでる。

・首の筋肉の緊張により、耳周囲への関連痛のひとつとして耳鳴りが出る


 というのが考えられるのですが、いずれにせよ首がほぐれれば治まってくることが多いのです。


 さらに耳と近い場所の顎関節も関連があります。


 当院には顎の不調でお越しの方が多いのですが、同時に耳に違和感(例えば耳鳴りや耳の痛み)があると仰る方も多いのです。


 先日もそのような症状の方がいらっしゃいましたが、顎がけいれんして、耳鳴りもあるとのこと。


 顎がけいれんするような場合はまず顎の筋肉の緊張が考えられます。そこで触ってみるとやはり硬さがありましたので、そこをよくゆるめるようにしました。


 顎の緊張がある場合は上記のように首や肩の緊張を伴うことが多いため、これらをゆるめて胸椎の調整を行うことが多いのですが、2度ほど施術したあたりから、顎のけいれんした感じが治まってきました。


 ところが、肩をゆるめる施術をするとどうも耳鳴りが強くなる感じがあるということで、そこからは首から上だけの施術に切り替えました。


 その施術では顎の位置をわずかに戻すようにすると耳鳴りが少し良いということでしたのでそれを行い、その次の施術では耳をかすかに引っ張ると耳鳴りが少し良いようでしたのでそれを行いました。

 頭蓋仙骨療法で行う耳をかすかに引っ張って側頭骨をゆるめる方法なのですが、それが功を奏したのか、現在は顎のピクピクがなくなり、耳鳴りも少し落ち着いたようです。


 その施術の際、耳を引っ張ると首が伸びる感じでスッとするということを仰っていらしたのですが、耳のある場所は頭蓋骨でも側頭骨という場所。

 耳の後ろの出っ張った場所も側頭骨なのですが、ここから胸鎖乳突筋という首の筋肉が鎖骨へと繋がります。顔を横に向けると浮き出る筋肉ですね。

 この筋肉が緊張すると顔や耳、耳の後ろに違和感が出やすいのですが、耳をかすかに引っ張ることで側頭骨が弛み、胸鎖乳突筋も弛むのです。敏感な方にはその感覚が分かるみたいです。


 いろいろと勉強になりますね。

 (症例)

 口が開きづらいような症状の時に同時に起こっていることが非常に多いのが首の張りです。

 口を開く時に働くのは、

オトガイ舌骨筋

下あごのうらのオトガイ舌骨筋(上の写真の赤いところ)

顎二腹筋と胸鎖乳突筋

顎二腹筋(上の写真の赤いライン)。

 舌骨から耳の後ろの乳様突起につながります。

 特に口が開きにくい、開こうとすると顎に痛みが出るという時にはここが過剰に緊張していることが非常に多いです。

 硬くなっている場所が星のマークのあたりに見つかります。


 で、この筋肉がつながる乳様突起には胸鎖乳突筋という大きな筋肉(緑のライン)が付いていて、実際には顎二腹筋の硬い場所もこの胸鎖乳突筋の奥になっていたり、この筋肉自体にも張りが出ていたりします。

斜角筋群

斜角筋群もありますが、口が開きにくい側はこういうところも張ってたりします。

 口が開きにくい、開こうとすると顎に痛みが出るという時には顎の筋肉だけじゃなくて、首にも張りが出ている箇所があるので、そこもいっしょにほぐしてゆるめておくと、口の開きも楽になります。


(2016年11月ブログ記事、2018年2月ブログ記事、2019年11月ブログ記事に加筆修正)