硬いものを食べた時に顎が痛くなった

Tooth pain after eating hard food

 顎の筋肉を傷めたことで起こります


 硬いものを食べた時に顎が痛くなってしまったということがあります。


 噛みしめた時にゴリっとなって、それから痛くなってしまう。こうなると硬いものを咬むのが辛くなりますし、大きく口を開けるのにも支障が出てくることがあります。

咬筋と外側翼突筋

 写真でいうと、顎の関節は水色で囲んだところ。多くの場合はこの個所に痛みが出ますが、もちろん痛みの原因の筋肉そのものが痛いこともあります。


 物を食べる時は単に下あごが上下に動くだけではなく、すりつぶす動きをするため横にも少し動くのですが、その際に硬く潰れにくい物を咬むと下あごが強い力で横にズレるので、関節内の円板と下顎の骨で変にこすれあいゴリッとなると考えられます。

 硬いものを噛もうとした強い力が関節に跳ね返ってくるので、関節を傷めますし、顎の筋肉も過剰に緊張してしまうのです。


 噛んだ時に痛くなってしまったので傷めたのは噛む筋肉がメインで、この時傷めやすい筋肉は写真で言うと、


・咬筋・・・。えらのところの大きく強い筋肉で、緑色のラインはその端。

・外側翼突筋・・・黄色のライン。頬骨の下あたりから顎関節につながります。

 ちなみにえらの内側には顎二腹筋がありますが、この筋肉は口を開ける時に主に使われているところです。なので口が開かないような時はここもチェックした方が良いです。


 あと耳の上の側頭筋も関連することがあります。食いしばりの癖がある時はここも凝っていることが多いので、ゆるめると楽になりますね。

・側頭筋・・・側頭部、こめかみの広い筋肉(耳の上)


 これらのいずれか、または複数が過剰に緊張して痛みを出しているのです。


 よく調べて痛くない側と比べてみれば痛い側に張りがあるのを見つけることができます。下あごの位置をよく見ると、痛い側に少し寄っていることもあります。


 咬筋・側頭筋はわかりやすいのですが、外側翼突筋は見落としやすい個所です。この筋肉は顎をスライドさせる動きの際に使う箇所。

 上でも述べたように咬むという動作には単純に顎を上下させるだけでなく、少しスライドさせてものをすりつぶす動作も混じっており、硬いものを咬んでゴリッとなるような場合にはこの部分を傷めていることが多いのです。


 ですので、これらの筋肉を弛めてやることが必要。それぞれ圧痛点がありますので、それを丹念に探し、見つけたら優しく念入りにほぐしてゆるめると良いです。

側頭筋をほぐす

 例えば側頭筋なんかだと、上の写真のように口を少し開けて力を抜いて、側頭部をもみほぐす(皮膚を軽く引っ張り上げる感じにすると楽になる事が多いです)と良いですね。


 ただし関節を傷めてしまって痛みが強い時には、無理に痛い動作を行わないほうが良いです。

 ゴリッと傷めたわけでなくても、食いしばりの癖によって筋肉が過剰に緊張するだけで痛みが出ることがありますし、過剰な緊張に下あごが引っ張られてわずかにズレて、顎関節内で不具合が起こり、痛みとして感じられることもあります。

 このような場合、口を開けようとすると痛みが出たり、開いてもまっすぐに開いてなかったりします。

 下あごがズレているように見えたり、上の歯列の中心と下の中心がズレていたりすることがあると、顎の筋肉の緊張を疑います。


 ズレる方向としては、痛む側が後ろ側に引っ張られていること(一枚目の写真の赤い矢印)が多いようですが、そうでないこともあるので、よく観察する必要があります。

 ズレているのを戻すと痛みがなくなったり軽くなったり、動かしやすくなったりしますので、矯正の目安になりますね。ズレを戻しつつ、緊張した筋肉をゆるめるようにすると改善してきます。


 御本人はどうズレているかはわからないことがほとんどですので、とりあえず痛む動作をなるべく少なくして、食いしばらないようにしておくのが良いです。



(2016年2月ブログ記事と2019年2月ブログ記事、2019年7月ブログ記事に加筆修正)