姿勢と動作に注意して、こまめに動かすのが良いです。
・赤ちゃんのお世話を始めてから肩が凝るようになった。
・産む前からあった肩こりがさらにひどくなった
というお話をご来院くださる方からよく耳にします。
「赤ちゃんのお世話で多い姿勢や動作が原因」
●座っての授乳
背中が丸まり、首はうつむきます。肩甲骨は背骨から離れる方向へ動き、肩が前に出ます。
首の後ろの筋肉や僧帽筋、背中の筋肉はこの不自然な姿勢で赤ちゃんを支えるために長時間強いられることになります。
●抱っこひもで抱っこ
肩と背中で赤ちゃんの体重を支えるので、長時間になると首から肩にかけての筋肉や肩甲骨周囲の筋肉が痛くなってきますし、ベビースリングだと片方の肩だけで支えるので、そこには大きな負荷がかかり疲労度も大きくなります。
●添い寝での授乳
赤ちゃんを支えることは少ないものの、横向きの体勢を長く続けることになりますので、下になっている側の体が圧迫され血行が悪くなりがちです。下の肩は前側に圧迫され、枕が高いと首は下側が引き伸ばされ、逆に枕が低いと上側の首が引き伸ばされた格好になるため、首から肩にかけて痛くなることが非常に多いです。
症例 肘の痛みから肩の痛みへ
小さなお子様をお連れのお母様が肘と肩の痛みを訴えていらっしゃいました。
初めにの痛みが現れ、そのあと肩が痛くなってきたとのこと。
肘の痛む箇所は上の写真の青色のあたり。
橈骨という骨の頭の辺りで、手首を動かす橈側手根伸筋という筋肉があります。抱っこなど世話をしているうちに傷めたようです。
肩が痛くなったといっても肩関節ではなく、いわゆる肩こりの箇所。
ここに僧帽筋や肩甲挙筋という筋肉があり、どうやら肘が痛くて肩に力が入りずっと緊張していたため痛くなってしまっていたようです。
ということで、この2か所を一気にほぐしてゆるめて、腕から肩、背中までを調整しましたところ、施術後は痛みがかなり治まったようです。
抱っこが多いと手や腕が疲れます。なるべくならいつも同じ側ばかりで抱っこしないほうがベターですが、それだと抱いたまま作業しづらいのが悩ましいですね。
「痛みのある個所の筋肉は」
筋肉は伸び縮みすることによって、酸素・栄養を含んだ新しい血液を取り入れ、老廃物を含んだ古い血液を外へ出します。しかし、長時間同じ姿勢を強いられると筋肉が伸び縮みしないため血液の出入りが減り酸素が入っていかなくなります(虚血状態)。
そうするとその状態をなんとかしなければというサインとして痛みの物質が発生するのです。
「縮んで硬くなった肩回りの筋肉をセルフケアするには」
上の写真の赤いラインが首と肩甲骨をつなぐ肩甲挙筋。
ここはこのように座って座面の端をつかみ、逆の手で頭を持って斜め下にうつむくように引っ張るとストレッチできます。
また肩甲骨の内側あたりにある凝っているところを探して、指を当ててそのまま肩を回すとセルフマッサージになります。
あとは硬くなった筋肉をさらにストレッチして、血行を回復しましょう。
・両手を後ろに組み、肩甲骨どうしを寄せて胸を開く(10秒×5回)
・肩をすくめるように上げて5秒止め、ストンと脱力×5回
・肩甲骨を大きく回す (前まわし、後ろ回し×5回)
これらを行うことで肩や肩甲骨の内側の血行を回復できます。
こりを感じるよりも前にこまめにこれらの運動を行うようにしておくと効果的です。
ちなみに添い寝の際にはなるべく同じ側ばかりを下にしないで、時々体勢を入れ替える方が、負担が少なくて済みますよ。
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